FC2ブログ

ブログは移転しました。

→ http://norimune.net

ペアワイズ相関分析とは

最近、このフレーズで検索が多いので書いてみようと思います。

でも、この分析法は他の資料などに詳しく書いてあるので、そちらを参照してもらうのが一番かもしれません。この記事の最後に関連文献を挙げておくので、参照してみてください。

ペアワイズ相関分析という日本語の呼び方は清水が勝手につけたもので、正確にはたぶん決まった言い方はありません。pairwise correlational approachやら、correlational analysis of pairwise methodとか、さまざまです。

ペアワイズ相関分析は、Griffin & Gonzalez(1995)が提案したペアデータに特化した統計手法です。

ペアワイズ相関分析の関心は、ペアデータの類似性を上手く扱うことにあります。ペアデータとは、例えば二者会話データ、カップルデータ、双子データとか、いろいろあります。そして、これらペアデータというのは大抵、データが類似(相関)しています。

ペア内で類似しているデータは、非常にややこしい性質を持ちます。それは、大きく分けて2つあります。
1つは、ペア内で類似しているということは、データの独立性の仮定が違反されているということで、従来の検定方法が使えないということ。
もう1つは、ペア内で類似している変数同士の相関係数は、ペアレベルの効果と個人レベルの効果が混在しているということ。

1つめは、自由度を調整してやれば問題ないのですが、2つめは相関係数をペアレベルと個人レベルに分離してやる必要があります。

ペアワイズ相関分析は、上記の2つの問題点を解決する方法です。つまり、自由度を調整し、相関係数を2つのレベルに分割して、比較することができます。


ペアワイズ相関分析の長所は、まさに上記の点にあり、ペアデータの類似性を適切に評価し、正確な推定値と検定結果を与えるところにあります。他にも、他の階層的データ解析と比べて利点があります。

1.ピアソンタイプの相関係数が得られるので解釈が容易、2.係数の計算および検定の計算が非常に簡単で、専用のソフトを用いる必要がない、3.SEMとも相性がよく、Amosなどの専用ソフトでも分析ができるので、適合度なども参照することができる。

短所も、いくつかあります。

1.ペアデータしか扱えない、2.あくまで相関分析しかできず、パス解析のような因果を仮定したモデルの有意性検定は手計算が必要、3.やや検定が厳しく、級内相関などが有意になりにくい、4.非常にマイナーな分析である。

短所の1と2は結構痛いところで、マルチレベルのSEMを使ったほうが汎用性が高くて良いように思います。

このように、今やマルチレベルのSEMが実用的になってきたので、ペアワイズ相関分析の価値は低く見られがちですが、最も早く実用化した階層的データ分析という意味では、僕は重要な方法論であったと思います。


あと、ペアワイズ相関分析とマルチレベルSEMは、標準化係数においてほとんど同じ推定値を与えます。とはいえ、完全には一致しません。実用上は同じと見ていいでしょう。

ペアワイズ相関分析は、このブログにあるエクセルのプログラム、HADで実行可能です。

HADのページ

基本的な使い方などは上のページからリンクを張っているので、そこで見てください。

ペアワイズ相関分析を実行するためには、「分析」ボタンを押して、「マルチレベルデータ」をチェックしたうえで、「ペアワイズ相関分析」をチェックしてOKをしてください。




関連文献

Gonzalez, R. & Griffin, D. 1999 The correlational analysis of dyad-level data in the distinguishable case. Personal Relationships, 6, 449-469.

Gonzalez, R. & Griffin, D. 2000 On the Statistics of Interdependence: Treating Dyadic Data with Respect. In W. Ickes & S. Duck (Ed.) The Social Psychology of Personal Relationships. New York: Wiley & Sons, Ltd.(石盛真徳 2004 相互依存性についての統計学 二者間データの慎重な取り扱い 大坊郁夫・和田実 監訳 パーソナルな関係の社会心理学 (pp.221-256) 北大路書房)

Griffin, D., & Gonzalez, R. 1995 Correlational Analysis of Dyad-Level Data in the Exchange Case. Psychological Bulletin, 118, 430-439.

石盛真徳・清水裕士 2004
二者データ分析へのペアワイズ・アプローチ
対人社会心理学研究, 4, 121-127.

清水裕士 2006
ペア・集団データにおける階層性の分析
対人社会心理学研究, 6, 89-99.

清水裕士・大坊郁夫 2007
恋愛関係の相互作用構造と関係安定性の関連:カップルデータへのペアワイズ相関分析の適用
社会心理学研究, 22, 295-304.



  1. 2007/07/31(火) 01:20:41|
  2. 心理統計学
  3. | コメント:0
<<帰国しています | ホーム | 発表など>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

カウンター

カテゴリー

 サイトが移転しました

 トップ
 日記
 本の紹介
 研究生活
 心理統計学
 HAD
 業績
 資料
 プロフィール

プロフィール

norimune

Twitter

 
 Twitter アカウント:simizu706
 

最近のコメント

RSSフィード